1回目「愚者」、2回目「魔術師」、3回目「女司祭」、4回目「女帝」、5回目「皇帝」、6回目「教皇/司祭」、7回目「恋人たち」、8回目「戦車」、9回目「力」、10回目「隠者」、11回目「運命の車輪」、12回目「正義」、13回目「吊るされた男」、14回目「死」、15回目「節制」、16回目「悪魔」、17回目「塔」、18回目「星」、19回目「月」、20回目「太陽」、21回目「審判」
最終回「世界」
マルセイユ版とトート・タロットはキリスト教の規範や道徳から外れて生きる人向き?!
昔のタロットはゲーム用。教会が禁じたギャンブルをしてる時点で信心はなさそうですよね。アウトローな人たちは、本来キリストが描かれるこういう図像に

異教の女神を据えた。偶然を司る運命の女神をゲーム上の最強カード「世界」にもってきた。

配られるカードは偶然。誰にツキがめぐってくるかはわからない。
運命の女神がどこにいくかは風向き次第で、不安定な球にのった女神は手に持つ帆が吹かれるままにあっちへこっちへ移ってく。

だからゲームがおもしろいんですよね。誰が勝つのかわかってたらやってもしょうがないですもん。宗教がいうように善いことしてたら天国へ、悪行を働いたら地獄へ落ちる、因果応報ではゲームにならない。
偶然やってきた手札でどう戦うか。自分の欲しいカードがこなくても、手持ちの札をいかして勝っていくのがゲームに強い人。
自分でコントロールできない現実世界で、やってきたものにどう応じるか、は生命の木に重ねても意味が合うようです(「世界」が対応するパスは木のいちばん下の現実(マルクト)に接しています)
ウェイト版はマルセイユ版と絵自体はほとんどいっしょだけど、生命の木を上から下へ降りてきた最後のパスとみたら、「世界」はやってきたものに応じながらできあがった私の世界。自己実現された姿ですか。

20世紀後半にユング心理学の影響を受けたタロティストたちは「人間の成長の完成」を描いているとしたようです。人間成長の完成とは?抑圧されたものを統合すること。
男は男らしく女は女らしくとか、学校や会社のルールに従うとか、容易くできる人と困難な人ではストレス度は違うとしても、社会に適応していく中で誰でも多かれ少なかれ、自分の中に押さえ込んでしまったもの、開発されてないままの部分がある。生きられなかった自分の反面(半面?)に目を向けて、心の全体性を取り戻すのがユング心理学の目標。
宗教の教えに従って清く正しく生きるのも抑圧になるでしょうね。クロウリーはそれを批判し、もっと自由に生きようとトート・タロットを作った。従来の男らしさ女らしさを覆す大アルカナの最終章が「ユニヴァース:宇宙」
新しい時代の主とダイナミックに踊ってる。明るく輝くグリーンは生命力と自由の象徴かな。規範に縛られた暗い灰色の世界から脱して。
トートの「宇宙(世界)」は現実世界を肯定するカードだということ。思い通りにならないのが現実だけど、起きたことにどう応じるかで変わりますよね。強いギャンブラーがするように、すべてをチャンスにできる。
ただ受け身でいるんじゃなく応じる、能動と受動の両方でいく。仕事だって言われたことだけやってるより、何がしか自分で面白くできたらいい。人間関係や恋愛でも、相手にまかせっきりでも独りよがりでもうまくいかないでしょう。相手の反応を見る、アクションに応じる、一緒にダンスするようにやってくほうがいい。
トート・タロットはポジティブだなと思いました。「世界」に限らず大アルカナ全体で。生き生き生きてこう!ってエンパワーメントされるような。道徳に反したくない人はクロウリーの考えを好きになれないかもしれませんが。
この講座22回受けてきまして、私は絵の謎解きがおもしろかったのと、手付かずだったトート・タロットに親しめたのがよかったです。シンプルで風刺的なマルセイユ版もやっぱり好きだし、3種同時に比べてもらったからわかることもありました。
ご一緒させてもらった皆さんはいかがでしたでしょうか?長編講座をご受講ありがとうございました。また当教室でお気持ちに合う講座があれば、いらしてくださいね。
以前の講座の「世界」レポ
「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味
講師:伊泉龍一先生
ZOOMでは終了しましたが、アーカイブでもご受講いただけます
受講料1回¥3,300
詳細・お申し込みはこちらから
https://thelema-s.com/online240221.html
以下は自分の覚え書
運命の女神の絵は時代で変わっていった(くわしくは『タロット大全―歴史から図像まで』で)。
目隠しして車輪を回してたのから、球に乗って船の帆を持つ姿へ。

その途中みたいに見える絵↓がありました。車輪を持ってて、球もあり背景に船。

宗教を信じてない人は昔から一定数いる。の参考図書『無神論の歴史 上・下: 始原から今日にいたるヨーロッパ世界の信仰を持たざる人々』ジョルジュ ミノワ (著)
カウンターカルチャーの人たちに受けたクロウリー。当時のアイコン、ビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」
一番後列の左から2番目にクロウリーがいます。

トート・タロットを使う女性が出てくるドラマ「カトラ」これかな?

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