1回目「愚者」、2回目「魔術師」、3回目「女司祭」、4回目「女帝」、5回目「皇帝」、6回目「教皇/司祭」、7回目「恋人たち」、8回目「戦車」
9回目は「力」、3デッキともに女性とライオンが描かれてます。
マルセイユ版はいつものように謎なし。四つの徳目のひとつ「剛毅」の擬人像だそうです。伊泉先生のご著書『タロット大全』p.483.〜「剛毅」も読まれるといいかも。

擬人像は女性で描かれる決まり。でもマルセイユ版よりも古いイタリアのデッキだと、男性バージョンもあったそう。古典復興のルネサンス期だったからなんですね。ギリシャ神話や聖書の中でライオンを退治した伝説の男性たちがモチーフになった。

旧約聖書のサムソンは上の絵ではライオンの口に手をかけている。マルセイユ版に似てるな。

サムソンの強さは柱で描かれることもある。

(ミンキアーテ・タロットの「力」は女性と柱ですね)

下の絵はギリシャ神話のヘラクレス

(1JJタロットの「力」はヘラクレス風にしてるのかな?棍棒あるし)

ヘラクレスは、神から与えられた無理難題の一つ「人喰いライオンをやっつけろ」のために手強い猛獣と何日も格闘した、困難にめげなかった物語と「剛毅」は重なります。大変なことがあっても逃げずに向き合え!
退治されたライオンはのちに獅子座になった。(マルセイユ版は生命の木と関係ないけれど、ウェイト版の「力」は生命の木の獅子座のパスに該当します)。
ウェイト版だと、同じ女性とライオンでも雰囲気が変わってます。

口を引き裂くというよりも、そっと手を添えて、よしよししているかのよう。ライオンもなついてる?ぜんぜん凶暴そうじゃない。
困難(=ライオン)には屈しない、でも神話の英雄みたいに「力」でねじ伏せるのは違う、って言いたいようです。困難を受け入れて向き合う「強さ」が大切。ForceからStrengthへ。
トート・タロットのクロウリーも、この力は戦いや腕力じゃないと言ってるようです。それでタイトルも変えたんですね。Lust(欲望)に。
ん?「欲望」と「力」がどう関係するの?欲望が力になる?どういうことか生命の木から説明していただきました。

「力」が対応する生命の木のパスは、セフィラー4と5の間。木の右側と左側を水平に結ぶ3本のパスのうちのひとつ。
右側の可能性の力が左側に流れ込んで「やるぞ!」となる。このパスより上のエリアからくる生命力が、もっともっとパワーアップしようとする。その原動力が欲望!
ここでいう欲望は、他の人と比べて足りないものを欲しがるとか、一般的な成功者になりたいとかじゃないんですよね。自分の固有の、内からわいてくる欲望、私らしく何者かになりたい、今以上になりたい、自己実現したい!
私は物心ついてからずっとこの欲望に囚われてますが、この焦りはわかってくれる人が少ないです。学校に行ってるころ男子にはこう言われました。「女はそんなこと考えなくても、結婚して子ども産めば楽しくいられるでしょ?」「はぁぁ?」だし、女子同士でもみんなはもっと現実的で、話が噛み合わなかった。手に職つければ、いい会社に入れば一生安泰って言われても、私には「なんか違う」という思い。
生命の木で「力」のパスと交差する「女司祭」のパスで「なんか違う」を繰り返して自分の欲望がわかってきたかも。まぁそれで何かやって満足しても、またすぐ次を欲してしまってキリがないのだけど。。。貪欲にもっともっと!を奨励するクロウリー、好き♡

野獣を乗りこなす緋色の女、かっこいいと思っちゃいます。
ウェイト版に描かれる女性はまったく対照的ですね。清楚な白に身を包み花冠までつけてブライドのよう(カトリックだったウェイトと、アンチクライストのクロウリーの差?!)。
ウェイトもクロウリーも同じ生命の木に基づいてタロットを作り、二人ともこのカードに人を動かす「力」をあててるのだけど、表現したい「力」が違うんですね。皆さんの好みも分かれるかな。
伊泉先生は今回、「霊界のクロウリーがよろこんでるかな」ってくらいトートを熱く語られてました。ニーチェの考えが好きな方にも今回の「力」はしっくりくるかも。

以前の生命の木講座での「力」のレポもつけておきます。
次回は7/3「隠者」です。

講師:伊泉龍一先生
Zoom開催スケジュール
次回7/3「隠者」、以降7/17、8/7、8/21、9/4、9/18、10/2、10/16、11/6、11/20、12/4、12/18
各回:20時〜21時(1時間)
★リアルタイムでなくてもアーカイブでもご受講いただけます
受講料1回¥3,300
詳細・お申し込みはこちらから
https://thelema-s.com/online240221.html






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