【教皇/司祭】レポ「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味6回目2024/5/8

1回目「愚者」2回目「魔術師」3回目「女司祭」4回目「女帝」5回目「皇帝」

6回目「教皇/司祭」。

この講座は回によって、絵の説明に時間をかけるときもあれば、生命の木で対応するパスの説明が多くなることもあれば、ウェイトやクロウリーのテキストをメインに進むこともあります。

今回の「教皇/司祭」は、トート・タロットの絵がいちばん複雑だということでクロウリーのテキストを読み解くのが中心になりました。

まずマルセイユ版には絵の謎がない。

キリスト教の中のカトリックの最高位の聖職者、ローマ法王の姿そのままです。

ウェイト版も同じ三重冠をつけ同じものを持ってます。

加えられた足元の鍵もカトリックのもの。ウェイト版もカトリックの聖職者を描いてるの?

違うんですね。「教皇」でなく「司祭」へ、タイトルを変更してます。ウェイト版の司祭はキリスト教に限定しないで、イニシエーション・秘技参入を司る人を指すようです。

秘儀、密儀というと、小惑星講座のケレス回で出てきた古代ギリシャの「エレウシスの秘儀」もそのひとつ(ケレスの講座時に「司祭」カードとの関連もお話しありました)

カトリックは表に見える宗教ですが、秘儀は隠して行われるもの。エレウシスの秘儀も口外は御法度でどういうことをしてたのか謎に包まれてます。

この本はクロウリーが行った「エレウシスの秘儀」が書かれてるみたい

もうひとつ、ウェイト版に書き加えられてるのは頭に刺さった「釘」、これは生命の木で「司祭」が対応するパスのヘブライ文字ヴァウ=釘から。YouTubeの無料動画でもお話しされてますので、見てみてくださいませ。

トート・タロットにも頭上に釘が!こちらは9本。9にしたのは「司祭」が対応する生命の木のパスに同じく対応する「牡牛座」と占星術のルールからきてるそうで、へぇぇでした。

占星術に詳しいクロウリーはこのカードにも占星術を多用しています。四隅の生き物もルネサンス期の占星術の原理?ここでルネサンス期の魔術理論も教えていただきました。

ウェイト版だと「運命の輪」と「世界」に使われてるのが、トートでは「司祭」と「世界」なんですね。この関係は「世界」までいくと明らかになるのか?どうなんでしょう。

そして「牡牛座」からも連想を広げています(関係ないけど、牡牛座新月の日に牡牛座が対応するパスの「司祭」の解説とは、これもシンクロニシティ?!)

ひとつは雄牛と交わり怪物ミノタウロスを産んだパシファエの神話。これは占星術講座『神話で読み解く占星術の12星座の物語』牡牛座回でもフェミニズム的に検証されましたが、

浮気しても男性は大目にみてもらえるけど、女性はひどく咎められるっておかしくない?クロウリーは男性中心主義に異議を唱えてくれてたのですか、トートの「司祭」には剣を持った強い女性が描かれてます。

『ジャンヌ・ダルク』 1882年 ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ

昔、剣を持った数少ない女性ジャンヌ・ダルク。この絵の服や髪の赤は強さや情熱を表現してるように感じます。不貞を働いた女性が見せしめに着せられる服が緋色だったと思えば、従属から戦う身へ転じると同じ赤がポジティブに変わる!

トート・タロットの剣を持つ女性は戦う側。かしずいたりしない。マルセイユ版・ウェイト版で教皇・司祭の前にひざまずく従順な人たちとはまったく違う絵になってます。トート・タロットは新時代・水瓶座時代のタロットだから!

クロウリー自身も戦ってたんですね。キリスト教の抑圧や科学万能主義に対しても。彼が生きた時代にはオカルト・魔術がカウンターカルチャーだったとは興味深いお話でした。

そうはいっても、一般的な道徳をひっくり返すというのはスキャンダラスですよね。フリーラブといわれても…受け入れられない人もいるでしょう。

モラルの反転でよぎるのはサド公爵の小説「悪徳の栄え」です。

対照的な姉妹の話。淫蕩、殺戮、背徳の限りを尽くした姉ジュリエットはなぜかサクセスしていって、美徳に生きた妹ジュスティーヌは不幸のどん底に落ちていくという、勧善懲悪と反対の話です。

これは極端ですが、じゃあ大人しく、女性に与えられた役割に従って生きるのが幸せなのかどうか。もっと積極的にいろいろやってもいいんじゃない?と思う人にはトートが励ましになりそう。

3種のタロットどれも「良心」と関わるカードだけど、よってたつところが違うとこうも変わるというおもしろいカードでした。

以前の講座の「司祭」もはっておきます。

次回は5/22「恋人たち」です。

伊泉龍一先生のタロット講座「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味

講師:伊泉龍一先生

Zoom開催スケジュール

次回5/22「恋人たち」、以降6/5、6/19、7/3、7/17、8/7、8/21、9/4、9/18、10/2、10/16、11/6、11/20、12/4、12/18

各回:20時〜21時(1時間)

★リアルタイムでなくてもアーカイブでもご受講いただけます

受講料1回¥3,300

詳細・お申し込みはこちらから
https://thelema-s.com/online240221.html

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