【皇帝】レポ「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味5回目2024/4/24

1回目「愚者」2回目「魔術師」3回目「女司祭」4回目「女帝」

5回目「皇帝」は、ウェイトもクロウリーも力を抜いてたカード?二人ともテキストの内容が薄いそうです。ここまでの愚者から女帝までは、神話の神を重ねてたクロウリーも、皇帝には何の神も当ててないとか。女帝がイシスなら皇帝はオシリスでは?

デザインにもはっとするようなおもしろさがない「皇帝」てことでしたが

ともかく絵を見ますと

マルセイユ版は女帝と同じくシンプル。足を組んだ「皇帝」、顔は横向き。

皇帝を横顔で描くのは、ルネサンス期に古代ローマのコインをお手本にしたから説も聞きます。当時の技術では、正面向きの顔をコインに刻むのが難しいから横顔だったみたいですけど、皇帝の肖像は横向きで描くものっていう常識?になったんですかね。

ウェイト版は正面向きに。背景と椅子がゴツゴツの岩石になって、やわらかな「女帝」と反対のイメージ。椅子には羊の頭が飾られ、手に持つ笏はエジプトのものに変更、これらは生命の木の対応から描かれたもの。

トート・タロットは画像を出せませんが、また横向きに戻っています。足も組んでいる(ウェイトに対抗心を燃やして?とにかくウェイト版と変えようとするクロウリーがかわいく思えてしまいます)

マルセイユ版では特に意味がなかった足の形、組んだ足を十字に見立てて意味を持たせたりするのがオカルティストなんですね。クロウリーは錬金術を重ねて女帝の絵とペアにしているそう。

錬金術のマーク、硫黄と塩

個人的に面白いなと思ったのは羊の描き分けです。

皇帝の足元に寝そべるのは従順で臆病な、飼い慣らされた羊。

「皇帝」はこういう飼い慣らされた羊たち(ニーチェがいう畜群のような?)を統治している?

それと別に絵の上方にも羊がいます。こっちは”ヒマラヤの野生の羊” ”気が荒く勇敢、荒野で孤独”

「皇帝」に対応する「牡羊座」のイメージは野生の羊な気がします。

「皇帝」自身もこっちでは?偉い人は自分で選び、自分で決めて、やったことの責任を引き受けていく。その強さと孤独は”飼い慣らされた羊”にはないですよね。

責任がある以上、誤ったことをしないためには、ヒマラヤでなくても高いとこからすべてを見晴らしておきたい(大アルカナ対比の構造で「皇帝」の反対カード「塔」を思います)けど、それは不可能なのでした。「皇帝」が対応する生命の木のパスはヘブライ文字「窓」、窓枠で切り取られた範囲しか見られない。完璧にわかっててやるんじゃないから「決意」が必要になるのかなぁ。

後半は生命の木のパス15の解説から、「皇帝」の占い上の意味につなげてお話いただきました。「皇帝」については、3種のタロットで意味の差はあまりないということですけど、背景にある生命の木を知っておくと、ウェイト版やトート・タロットを使う時には深みが出るんじゃないでしょうか。

前後しますが、今回、中盤にはクロウリーのヘブライ文字入れ替え問題が取り上げられました。カードで言えば「皇帝」と「星」、これは混乱の極み。

変更自体はクロウリーに限りません。昔は8「正義」11「力」だったのが、ゴールデン・ドーンは8「力」11「正義」に変えました。天秤をもつ「正義」を天秤座のパスに、ライオンがいる「力」は獅子座のパスに、これはまぁそうかーと思えます。カードナンバーも変えてますしね。

でもー!クロウリーの入れ替えはわからない。対応パスを交換するなら「皇帝」は水瓶座になるはずだけど牡羊座のままだし、何が何だか???

このへんのお話により「門外不出の回」になりました。冗談ですけど、クロウリーの熱狂的なファンの方にはおもしろくないかな。。。

以前の講座の「皇帝」回もつけておきます。

次回は「教皇/司祭」です。

伊泉龍一先生のタロット講座「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味

講師:伊泉龍一先生

Zoom開催スケジュール

次回5/8「教皇/司祭」、以降5/22、6/5、6/19、7/3、7/17、8/7、8/21、9/4、9/18、10/2、10/16、11/6、11/20、12/4、12/18

各回:20時〜21時(1時間)

★リアルタイムでなくてもアーカイブでもご受講いただけます

受講料1回¥3,300

詳細・お申し込みはこちらから
https://thelema-s.com/online240221.html

コメント