1回目「愚者」、2回目「魔術師」、3回目「女司祭」、4回目「女帝」、5回目「皇帝」、6回目「教皇/司祭」、7回目「恋人たち」、8回目「戦車」、9回目「力」、10回目「隠者」、11回目「運命の車輪」、12回目「正義」、13回目「吊るされた男」、14回目「死」、15回目「節制」、16回目「悪魔」、17回目「塔」、18回目「星」
19回目は「月」
前回の「星」とおなじく、初期のカードでは月は女性の手にありました。
マルセイユ版には女の人はいなくなり、犬二匹とザリガニ…ガラッと変わってます。なぜこの絵になったのか?
その謎を解くのに、初期のとマルセイユ版の間の時代の「月」カードを紹介していただきました。
月の方を見上げて何か喋っている人たち、天球儀やコンパスを持っていることから、二人は占星術師。
この二人が二匹の犬に変えられた。なんで?
昔々は星の運行をみて未来を予言する占星術師は権威ある存在だった。でもマルセイユ版が作られるころには、占星術でそんなことはできないとわかってきた。迷信で大真面目に運命を知ろうとする占星術師を皮肉って犬に(予言じゃなく自分の内面を見つめる現代占星術ができるのはもっと後の時代)
わからないことを知ろうとするのを風刺する絵なんですね。不安におびえて吠える犬に例えて。
これは生命の木の「月」のパスの意味とも合うようです。生命の木と対応させたウェイト版も、マルセイユ版と絵があんまり違わないのはそういうことか。
このザリガニ、マルセイユ版は占星術からもってきただけ(月は蟹座のルーラー)だけど
ウェイトはザリガニを不安、恐れ、恐怖の象徴としてるそうです。不安(ザリガニ)が水から這いあがろうとしている。あがった先には山の向こうに消えゆく道。先が見えない、夜だから余計に見えない、わからないから妄想しちゃう、不安がさらに膨らむ、怯えた犬が吠えている。。。
不安を避けようとして、現実を見ないで妄想の世界に入ってしまうのが最大の問題。占い依存やオカルトへの傾倒もそういう現実逃避ですか。
トート・タロットのクロウリーは、妄想にポジティブな面をみてたようです。なんせドラッグやって幻覚を見てた人ですからね。幻想による変容体験があったのでしょう。
(ドラッグというだけで嫌悪感をもつ人もいるでしょうけど、幻覚系ドラッグによる意識の変容はハーバード大学で大真面目に研究されてた歴史もあります)
感覚を遮断して意識の変性を起こすものも紹介していただきました。アイソレーション・タンクとやら、何も見えない聞こえない空間で塩水に浮かんで、皮膚感覚や重力の感覚もなくすという。体験してみたいなぁ。
見えない、聞こえない、恐ろしい暗闇がなぜ必要なのか?「有毒な暗闇は光の再生の条件」とクロウリーはいいます。夜の次には朝がくる。不安な暗い夜がずっと続くわけじゃない、夜は明ける!
昼と夜のサイクルは死と再生にもたとえられますね。古代エジプトでは特にそうじゃなかったか。トート・タロットでは二匹の犬をエジプトの神アヌビスに変え、太陽を運ぶフンコロガシを描いてます。
トート・タロットの「月」は真夜中のカードでありながら太陽の復活を含んでいる。ウェイト版より希望が強調されてるのが特徴ですかね(ウェイト版の「月」のカードも月と太陽が合体してるみたいにも見えますが)
不安から逃れたいだけの妄想は気休めにしかならないけど、現実離れした想像がクリエイティブに展開したら現実にも何かをもたらせるのかも。
クロウリーがいう、暗闇で頼るべきは触覚・嗅覚・味覚で、視覚や聴覚ではないというのもわかる気がします。見えないものを見ようとするから幻想を見ちゃうんだろうし、言葉ではなんとでも言えるから。彼の気持ちがわからなくて闇の中にいるなら手でもつないでみたらいいのか?その感触から感じ取れることあるかも。
生命の木ではセンセーションとエモーションをつなぐパス。頭で考えるのを休んで、体と心で感じるパスかなぁ。
次回12/4は夜明け?「太陽」、いよいよ残り3回です。次もお楽しみに。
以前の講座の「月」レポ
「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味
講師:伊泉龍一先生
Zoom開催スケジュール
次回12/4「太陽」、12/18「審判」、2025年1/8「世界」
各回:20時〜21時(1時間)
★リアルタイムでなくてもアーカイブでもご受講いただけます
受講料1回¥3,300
詳細・お申し込みはこちらから
https://thelema-s.com/online240221.html
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