【死】レポ「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味14回目2024/9/4

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14回目は「死」

マルセイユ版は鎌を持った骸骨、擬人化された死。ルネサンス期から変わらないデザインだそうで。

下の絵は『タロット大全―歴史から図像まで』p.507.にもある「死の舞踏」の教皇と皇帝のバージョン、ここにも鎌を持ったガイコツいますね。

La Danse macabre. Paris, Guy Marchant, 1486

どんな権力を持っていても、やがて必ず骨になる。メメントモリ、死を忘れるな。

死病の蔓延や戦禍においては、明日は我が身と誰もが切に感じるだろうけれども、ある程度平和だと死を意識しにくい。のんべんだらりな毎日を送ってても、もったいなさに気づきにくくなっているかも。

残された時間、余命を思えば、今を大事にしよう、したいことをしておこうと思いますわね。いつかできたらいいな、なんて先延ばししてる場合じゃない。

死の舞踏の教訓は「生きている間に意味あることをやったほうがいい」。好きなことをして今を楽しむのも一つだけど、自己実現というのだろうか、刹那の快楽以上の何かをやろうとするなら、残り時間はより意識されますね。

生命の木と結びついたタロットはどうでしょうか。

ウェイト版だと刈り取る鎌は持ってない。馬に乗った黙示録の騎士は、現実的な死ではなくイメージの死をもたらす。イメージの死?

肉体的には生きてても死んだも同然になる、それを失ったら生きてる意味がない「命」もありますね。人生をかけた仕事、その人なしでは生きられない相手など。

大事なものを無くしたらそれまでの自分が終わってしまう。ひとつの「死」がやってきくる。それでも体は生きてる以上、人生は続いていく。「死」を経て新しい自分に生まれ変わる、再生のプロセスを進むには、自ら能動的に変わろうとできるかどうか。

叶わない恋に執着してる人の例がありました。こうなっちゃったら、死神が終わりをもたらしてくれるのがむしろ幸いでは?どうしようもないのに、何年もの時間を失い続けてるくらいなら。でも本人に変わる気がなければ骨になるまで続いてしまう。

「死」をとおしてポジティブに再生していくのは、トート・タロットのが強調されてるか。

鎌を持った骸骨から伸びているいくつもの球体の中に、新しい命が宿っている。何度でも生まれ変われるよと言ってるかのよう。

ほかにも不死のシンボルがいくつも。脱皮を繰り返す蛇、復活したキリストを象徴する魚。

ガイコツの「黒」が錬金術の「黒化」からきてるなら、変容の途中の姿なんだな。「黒化」は不老不死の賢者の石を得るための第一段階、腐らせたり、不純なものを焼き尽くして黒くなる。死のような段階は金が生成されるのに必要なステップで、心理学風に言うなら黒=絶望をとおして再生していくプロセス?

また、肉が腐っても火で焼いても残るのが骸骨としたら、ウェイト版「死」に描かれている”不滅の太陽”と同じく、死を超えて存続し続ける私を表している?

一回死んで新たな存在になる。「死」のパスの占星術の対応:蠍座がまさに死と再生、変容のサインですよね。いろいろあって一度は死んだようになっても、それを機に変わっていけば、また新しい人生に羽ばたいていける!

(蠍座の三段階サソリ→ヘビ→ワシと進むのは占星術講座「神話で読み解く占星術の12星座の物語」の蠍座回がくわしいです)

今回の話を聞いて、それを失ったら生きてけないほど大切な「命」があるってしあわせでは?と思いました。それがライフワークなら「生きている間に意味あることをやったほうがいい」を実践できてるわけだし、執着する恋愛の例も、私はちょっと羨ましかったですよ。「そんな身を焦がすような恋をしてボロボロになってみたい」と言ったら笑われましたけど(これって破壊衝動、死への欲動ですかね?)

次回「節制」は説明が難しいカードのようです。次もお楽しみに。

以前の講座の「死」レポ

伊泉龍一先生のタロット講座「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味

講師:伊泉龍一先生

Zoom開催スケジュール

次回9/18「節制」、以降10/2、10/16、11/6、11/20、12/4、12/18

各回:20時〜21時(1時間)

★リアルタイムでなくてもアーカイブでもご受講いただけます

受講料1回¥3,300

詳細・お申し込みはこちらから
https://thelema-s.com/online240221.html

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