1回目「愚者」、2回目「魔術師」、3回目「女司祭」、4回目「女帝」、5回目「皇帝」、6回目「教皇/司祭」、7回目「恋人たち」、8回目「戦車」、9回目「力」、10回目「隠者」、11回目「運命の車輪」、12回目「正義」
13回目は「吊るされた男」
今回は伊泉先生のご著書『タロット大全―歴史から図像まで』からさまざまな「吊るされた男」を見せていただきました。
タロットができる前から監獄に描かれてた絵、
当時は「裏切り者」「反逆者」をこう描くのが一般的だった。
マルセイユ版は手を後ろに回してますが、↑だと両手に袋を持っている。なぜ?「裏切り者」の筆頭、イスカリオテのユダに重ねてるんですね。イエスを売って手にした銀貨が入った袋をもっている。
絵の意味がわかる教養ある人たちが遊んでいたイタリアのタロットから200年、フランスで庶民がゲームに使うころには、元々の絵の意味はどうでもよくなり、どのカードが強いか弱いかわかればよかった。
絵の意味が忘れられると「吊るされた男」が立ち上がる!?
逆さに向ければマルセイユ版に似てるけど、上のは肩の上に指が出てる!ありえない体勢なのも奇妙なカードです。
フランスでは他にも立ち上がってるのが生まれてます。もっともっと異質なカード↓
これを見て「吊るされた男」とは思えませんね。木に吊るされてない、足は縛られず足元に蛇がいる、デザインの大変更は、クール・ド・ジェブランの説から。
それは「吊るされた男」=枢要徳のひとつ「熟慮」だというもの。この説は間違いで、その後のタロットはまた元の絵に戻ってますけども、
「熟慮」の持つ蛇は、ずっとのちのトート・タロットにも登場しています。蛇の象徴のいくつかが「吊るされた男」に合うんですね。
蛇は楽園のアダムとイヴを目覚めさせた。神の言うことを盲目的に信じてた状態から、思考が目覚めた(「吊るされた男」は生命の木で8思考のセフィラーにつながるパスに対応)
ウェイト版では頭の後ろが光ってて、思考の目覚めが表されてます。
脱皮する蛇は死と再生の象徴でもある。今までの自分が一回死んで新しい自分に生まれ変わる、次の「死」のカードにもつながっていくよう。
ウェイトもクロウリーも魔術結社ゴールデン・ドーンの一員でした。結社入会の儀式でそういう体験もしたことでしょう。キリスト教への入信にも洗礼という儀式がある。
「幼児は原罪によって神の恵みを失って生まれてくるため、洗礼によって新たに生まれる必要がある」
清める「水」がまさに「吊るされた男」のパスに対応するヘブライ文字でもありますが、生まれながらに罪を背負っているとは、どう受け止められてるんでしょうか。
磔刑のイエスを「吊るされた男」に重ね見るのは、キリスト教文化圏だからこそでしょうね。人類の罪を贖うために自己を犠牲にする。贖罪には愛が必要(だからクロウリーは愛の星・金星=緑をもってきた?)
だけど「犠牲はこのパスの意味と合わない」とウェイトもクロウリーも言っているそうです。
罪を贖うために自分を犠牲にするって、古代に生け贄を捧げて神の赦しを乞うたのと同じ発想では?そこに思考はない。
贖罪、義務や約束を果たさないと吊るされる、それは監獄に描かれた元々の絵の意味になるけど、生命の木と結びついたタロットの「吊るされた男」は死んでないのがポイントで、ウェイトは木に葉っぱを描いて、クロウリーはアンクで、生きてることを示している。
「水」の浄化は贖罪や犠牲のためではなくて、生まれ変わるために。生きる、生命の活力を全開で発揮するために、盲信してることを流してしまえってことかな。
足を縛っているのは固定観念なのでは?普通の大アルカナ講座で聞く「吊るされた男」も思い出されます。
新しい自分になるために水に浸かって、思考を目覚めさせよう!
ゴールデン・ドーンでは、このパスのカードは「吊るされた男」でなく「溺れた男」だったとか。トート・タロットは真ん中にブルーがあり、水の中にいるよう(たしかウェイトの2ndタロットも水の中だったような)
次回は「死」のカード、今回の死と再生の続きみたいになるのかも。9/4です。
以前の講座の「吊るされた男」レポ
講師:伊泉龍一先生
Zoom開催スケジュール
次回9/4「死」、以降9/18、10/2、10/16、11/6、11/20、12/4、12/18
各回:20時〜21時(1時間)
★リアルタイムでなくてもアーカイブでもご受講いただけます
受講料1回¥3,300
詳細・お申し込みはこちらから
https://thelema-s.com/online240221.html
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