1回目「愚者」、2回目「魔術師」、3回目「女司祭」、4回目「女帝」、5回目「皇帝」、6回目「教皇/司祭」、7回目「恋人たち」、8回目「戦車」、9回目「力」、10回目「隠者」、11回目「運命の車輪」、12回目「正義」、13回目「吊るされた男」、14回目「死」、15回目「節制」、16回目「悪魔」
17回目は「塔」
前回「悪魔」でお話があったように「塔」も最初期のタロットには入ってなかったカード。入ってからも今とは違う絵だったりして、上から何かが降ってきて建物が壊れている絵として普及したのはマルセイユ版からだとか。

このカードには、昔は「塔」じゃない呼び名があった。その中の「火」「炎」「雷」は神の力を示す現象、「塔」を崩しているのは神の力ってことですか。
神の力と塔ということからバベルの塔が連想されるのかもしれないけれども、バベルの塔は神に壊されてないんですね。神がしたのは、塔を建てようとしている人たちの言葉を混乱させたこと。コミュニケーションが取れなくなり、建設を続けられなくなった。建てかけの塔は放棄され、人々は散り散りになったというお話。

タロットの「塔」とは形も違いますね
謎なのは「神の家」というタイトルです。神の家が壊されちゃっていいの?
ミンキアーテ・タロットの「塔」は楽園を追放されるアダムとイヴ、

この絵なら、追い出されてる建物=エデンの園=神の家と呼ばれるのはわかります(この辺は本『タロット大全―歴史から図像まで』p,515.〜『リーディング・ザ・タロット』p.252.〜でも読めます)
が、マルセイユ版は壊されてる「神の家」。
ポイントは宗教改革以後に作られたカードだということ。カトリック教会が腐敗してプロテスタントが誕生、それまで絶対的な権威・権力を持っていたカトリック教会が打ち砕かれる絵と見れば、なるほどです。
偽りの教会が壊されている、この推測がウェイト版やトート・タロットには意図的に込められているそうです。

マルセイユ版と変えたところは、塔を崩してるのが火じゃなくて稲妻、吹っ飛んでるのは塔の先端じゃなくて王冠。
雷、ギザギザの閃光は生命の木の上から下へ降りていくエネルギーの流れ(本『生命の木―ゴールデン・ドーンの伝統の中のカバラ』p.61.に図が載ってます)
生命の木の位置を思うと、吹っ飛んでいるのはいちばん上のセフィラー:ケテル(王冠)?違うんですね。地上の、偽りの王冠が吹っ飛ばされているんですと。
カトリックの権威が堕ちたように、絶対だと信じてきたものが偽りだったら?これまで教わってきたこと、今まで当然と思ってたことが本当とは限らないなら、積み上げてきたものが打ち砕かれる。そこでホンモノ探しに向かうとまたおかしくなるけれど、偽りに気づくのが生命の木を上がっていくには必須。
クロウリーのトート・タロットはもっと過激です。「完全性を再現するためにはすべてを破壊しないといけない」
カードの下方の大きな口から炎が噴き出ています。

この口はギリシャ神話のハデス(ローマのプルート、冥王星の神)のもの、今までのすべてを焼き尽くして新時代に進むのだ!
おもしろい表現だなと思うのが、塔から落ちてくる人たち。三角錐を組み合わせた人形のよう。これは、モテたい、あれがほしい、持ってる人が羨ましい、などなどに固執してる人のことのようです。
クロウリーが言いたいのは、物質世界の神を崇めて、生命の木の下の方に閉じ込められてないか?そこから解放されなさいってことみたいです。

現実を生きてたら物質面が気になるのは仕方ないと思う反面、いっとき何か手に入れたとて終わりはない、それを続ける虚しさもわかる。厭世的な気持ちにもなりますが、それで終わってたら生命の木の上昇はないのでした。
「究極の現実は無である」。物質界への囚われから目覚めたら、人生で求めるものが変わり、生き方も変化するんでしょうね。

クロウリーは火で焼き尽くし、ウェイトは偽りの家を打ち砕いてました。幻想から目覚るために必要な破壊か。
トート・タロットにはオリーブの枝を運ぶ鳩も描かれてます。破壊のあとの再生の象徴。

以前の講座の「塔」レポ
次回はちょっと間が空いて11/6です。次の「星」はトート・タロットの中で私はいちばん好きな絵です。楽しみ。またお待ちしてますね
「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味
講師:伊泉龍一先生
Zoom開催スケジュール
次回11/6「星」、以降11/20、12/4、12/18、2025年にもう一回
各回:20時〜21時(1時間)
★リアルタイムでなくてもアーカイブでもご受講いただけます
受講料1回¥3,300
詳細・お申し込みはこちらから
https://thelema-s.com/online240221.html






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