アカデミー賞4部門受賞!映画「哀れなるものたち」(と、もう一つドラマ)

予想されてたとおり、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、そして主演女優賞まで。

1930年代のヨーロッパ風に作られたセットは、独創的で幻想的で、撮り方の工夫もあって夢の中みたいな映画でした。予告編でも雰囲気わかるかなー

ストーリーは、自死した女性がマッド・サイエンティストに拾われて生き返る、正確にはお腹にいた胎児の脳を移植されてゼロから生き直すというもの。

「見た目は子供、頭脳は大人」なコナンの逆で、「体は大人、頭脳は赤ちゃん」な女性が生まれたわけです。こういう女性は男のロマンなのか、いいように扱われてしまう。そこから自我を持ち、強く生きる女性へ変わってく様がフェミニズム映画でもあるのかもしれないけど

私は「愚者の旅」を思いました。彼女は幽閉されてた博士の館を飛び出して冒険にでます。モラルもルールも何もインストールされてない赤ちゃんだから、常識はずれの言動やマナー違反の連発で、周りは眉を顰めるけど、本人は限りなく自由!

はじめはただ快感原則で生きてた彼女が、旅をとおして多くの人と出会い、語らい、知性を得て…だんだん変容してくのがフールズ・ジャーニーみたいで、主演のエマ・ストーンはその生成変化を快演してます。

哀れなるものたち
天才外科医によって蘇った若き女性ベラは、未知なる世界を知るため、大陸横断の冒険に出る。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げる。 天才監督ヨルゴス・ランティモス&エマ・ストーンほか、超豪華キャストが未体験の驚き...

もうひとつは話題でもなんでもないですが、伊泉先生のタロット講座「マジシャン」回の直後にたまたま見てたら「奇術師」が出てきたドラマ「Vienna Blood」

落ち目の警部と若き研修医が事件に取り組む推理ものなんですけども、降霊会も出てきたものだから興味を惹かれちゃって。ここに奇術師が絡んでくるのです。

スピリチュアリズムの歴史で聞いたのでは、霊媒師のトリックを暴く奇術師もいたし、奇術師が霊現象(に似せたもの)を見せるステージもあった、でもこのドラマではまた違う関わり方。

舞台は1900年代前半のウィーン、若き研修医はあのフロイトの元で精神分析を勉強してる設定!なので人を「観察」して心理を分析していくのですが、当時の警察ではそんなのされてなかったようで、警部は彼の分析を「奇術」と呼ぶんですよ。

目に見えない心をどう扱うか。この時代はまだ未熟なんでしょう。精神科治療も肉体的なアプローチが主流の中で、若き研修医は催眠を使ってトラウマを除いたりして。学会で異端扱いだったフロイト的手法がこの後どう描かれてくのかも楽しみ。

このころのウィーンにはクリムトもいました。「売れる前の」クリムトの展覧会に行くシーンもあったりして、私好みのもの、気になるものが多くてつい見ちゃってます。

ドラマ『Vienna Blood/ヴィエナ・ブラッド』の感想・レビュー[156件] | Filmarks
レビュー数:156件 / 平均スコア:★★★★3.7点

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