「愚者」でいるのはむずかしい時代?

3つのタロットを比較する講座「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味

先日の1回目「愚者」では絵の変遷がおもしろく、伊泉先生の本『タロット大全ー歴史から図像まで』や『リーディング・ザ・タロット』の図像のところを読み返してます。

昔々の「愚者」は「狂人」、そのへんをふらついては、突然棍棒を振り回したりも?

The Fool (tarot card), in Visconti Sforza tarot deck, beautifully drawn in the mid XVth century by Italian artist Bonifacio Bembo for the Visconti and Sforza dukes of Milan. Four cards (out of seventy-eight) are lost from the deck (the fifteenth and sixteenth major arcana—respectively the Devil and the Tower—, the Knight of Coins, and the Three of Swords), thus seventy-four cards remain.

そういうおかしな人物にも、中世の社会はまぁ寛大だったんですね。自由に街を歩けていた。共存していた。

近代になると、犯罪者を監獄に入れるのと同じく、狂気も隔離されるようになった。街のクリーン化によって「狂人」は放浪してはいられなくなった。

ミシェル・フーコー『狂気の歴史』
ミシェル・フーコー『監獄の誕生』

おかしな人が収容されだした17世紀には「放浪者」は消えてしまったのか?

その後に作られたマルセイユ版「愚者」の絵に、ふらついてる狂人の名残りがあるのは、自由への憧れもあったんじゃないかと想像してみる(だって宮廷のお抱え芸人というだけなら、室内の姿でもいいのでは?)

正常/異常の線を引くと、おかしな人を治療や矯正して社会に適応させようという動きも出てくる。正常とされる人でも、変なことして異常者のレッテルを貼られないように、自主規制をし始める(今じゃ至る所に監視カメラがあるし、デジタルタトゥーは消えないし、抑制はもっと働いてるかも)

自由な愚者でいるの、どんどん難しくなってない?

トート・タロットの「愚者」の角をみると、「飼い慣らされないぜ!」って感じがいいなと思う。

荒ぶる雄牛(パスのヘブライ文字)やディオニュソス祭の狂乱、暴れ出そうとするエネルギー。

世間の規範からはみ出すのを「愚行」ととるか「解放」ととるか、私は…おりこうさんに立ち回るよりも愚者のが面白そうと思ってしまうな(だからか?黒歴史ばかり増える)


時代によって作者によって変わっていくタロット、次回「マジシャン」もたのしみ。

伊泉龍一先生のタロット講座「ウェイト版」と「トート・タロット」と「マルセイユ版」の絵を比較しながら学ぶカードの意味

講師:伊泉龍一先生

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