タロットの本

タロット大全—歴史から図像まで

厚さ4cm、重さ990g、582ページ!!一般的な英和辞典なんかより大きいです。持つのに重いのが難点ですが…なんといっても「大全」、写真もたくさんついてるし、「あれってどうだっけ?」を調べたいときに、事典のように開いています。

「タロットとは何なのか」「タロット占いの歴史」「タロット・カードの歴史」「図像の解釈」

という流れで、数百年の間、タロットがどう使われてきたかが、順を追って解説されています。タロットは、魔術の道具でもありました。魔術師たちの人物像や秘密結社のことなど、近代オカルティズムについて、かなりくわしく書かれています。

メスメリズム、神智学〜ニューエイジにつながる流れは、各種セラピーやカウンセリングとも関係深く、そういうものを扱う方は、一度はお勉強されてるところでしょう。タロットという別の角度から、歴史をたどるのは、個人的に大変勉強になりました。

「いったい何を意味しているのか?」謎めいて見えるタロットの絵。図像解釈では、イタリアの初期タロットを、当時の文化的背景や、ギリシャ思想、神話などから解説されています。西洋思想や絵画がお好きな方は、より楽しめるんじゃないでしょうか。
(占い方法は書かれてませんので、占い方を知りたい方は別の本をどうぞ)。

シークレット・オブ・ザ・タロット 世界でもっとも有名なタロットの謎と真実

世界中に広まっているウェイト-スミスタロット。でも、その本当のところは知られてないですよね。考案したウェイト氏と、絵を描いたパメラさん、二人がどんな人だったのか、どういう考えを持っていたのか(特にパメラさんのほう)。

この本では、パメラさんの生涯を追って、描かれた風景やアイテムなどを解き明かそうとしています。読むと、絵を見るのが楽しくなりました。占いに関心のないウェイト氏にとっては「神秘思想」を示す大アルカナこそが本命で、占い用の小アルカナは、パメラさんにほぼおまかせ。ある程度自由にできたからこそ、彼女のクリエイティビティが発揮されているんですね。

各カードの解説は、作者ウェイト本人の意図とは違う部分も多々。著者たちの間違い、勘違いは訳注で指摘があります。またこの本は、ある程度の知識がある人向けに書かれていますが、ありがたいことに、日本語版序文で「生命の木」の概略やタロットとの対応など、図入りで説明されています。原著より日本語訳で読めてよかったと思える本。

タロットの書 叡智の78の段階

欧米でロングセラーを続けているという、レイチェル・ポラックさんのタロット解説書。ウエイト版タロットが世に出たのは1909年、この本は1980年代初めに書かれました。80年代でさえ今は昔だけれども、ウエイト氏の本Key to the Tarot(1910年出版、日本だと明治43年)に比べたら、ずいぶん身近に感じられます。

カード一枚一枚、描かれた絵からイメージを広げています。作者ウエイト氏の意図から大きくそれることなく、レイチェルさんの目線も加わってる感じ。 ウエイト氏がカードに込めた神秘主義思想だけではなく、フロイトやユングの心理学、東洋思想、ニューエイジ思想も加えながら、解説されています。描かれた人の服装や花など、色の象徴で語られる部分は、カラーセラピストとしては特に興味をひかれたところ。

小アルカナの解説は、まず、スートの説明が分かりやすいなと思いました。一枚一枚のカードについては、ウエイト氏の本では箇条書き程度しか載ってないんですが、それをベースにしながらも、私たちがイメージしやすいような例もあげられてます。

そして!個人的に何度も読み返したいのは、第3部の「リーディング」。ここに書かれてるのは、タロットをどう活用して、人生に活かしていくかということ。タロットだけじゃなくて、占星術でも数秘術など他のリーディングにも応用できる考え方だと思います。

リーディング・ザ・タロット 大アルカナの実践とマルセイユ・タロットのイコノグラフィー

タロットとは?に始まり、タロット占いの仕方、大アルカナ解説、リーディング方法、サンプルリーディング、大アルカナ全体の構造、タロットの歴史、図像学まで、マルセイユタロットを知りたい方に、この一冊。

紹介されているリーディング法は、「当てる」「質問に答える」を超えるもの。マルセイユ以外のカードをお使いの方も、ご参考になるのではないでしょうか。

伊泉先生のマルセイユタロットを受講されている方は、こちらの本で復習できますね。

ラーニング・ザ・タロット—タロット・マスターになるための18のレッスン

ウエイト版タロットの入門書。カードの解説、質問の作り方からリーディングの方法まで、順を追ってレッスンしながら学んでいけます。

私は、タロットを学び始めたばかりの頃に読んだのですが、ワンド、カップ、ソード、ペンタクルの解説で、「ワンドとカップ」、「ワンドとソード」、「ワンドとペンタクル」等、2つずつ対比してイメージしていくところが、とても分かりやすくて、好きでした。あと、愚者の旅(フールズジャーニー)が簡潔に書かれていたのが、大アルカナの全体像をとらえるのに役立ちました。

アイコニック・タロット イタリア・ルネサンスの寓意画から現代のタロット・アートの世界まで

”タロットと出会った人たちが残していった遺産“ メジャーなタロットはもちろん、アート系、オカルト/魔術系、最近出たものまで56種類のタロットとそのエピソードが紹介されています。作者がどんな人物だったか、コンセプト、特徴的な部分など。

読み物というよりヴィジュアルメインで楽しめる本。画像がたくさんです。実物のデッキより大きいサイズ(ページ全面に1つのカード)で刷られてるのもたくさんあって、カードの細かいところまで観察できます。

どのデッキを使うか、買い足すか、ショッピングガイドにもなりそうです。

黄金の夜明け団入門

伊泉先生のタロット講座やカバラ/生命の木講座で出てくる、黄金の夜明け団。ウェイト版やトート版タロットの作者もメンバーだったという魔術結社ですが、大の大人が大真面目にやろうとしてた魔術って何なのか? この本を読むと、黄金の夜明け団が目指したことがわかります。 実際にどういうことをやってたかも紹介あり。法則、原理、(一部だけど)実際の儀式まで!カバラ/生命の木やタロット、占星術の話も出てきますから、その辺を知ってる方だったら、けっこうおもしろく読めるんじゃないでしょうか。

個人的に興味深かったのは1章2章。古代からいろいろあった西洋の秘教は、キリスト教の弾圧などでちりぢりになってしまってた、それらを拾い集めて、上手にまとめ上げたのが黄金の夜明け団だったようです。ヘルメス学、薔薇十字、フリーメーソン、グノーシス、新プラトン主義など、西洋の秘教にご興味がある方は、ご参考になるかも。付録の語録や年表も便利。

タロットバイブル

「タロットは、愛するように、読むのです」と著者。愛しい人を見つめるように、よく観察して、もっと知りたければ関連テーマもどんどん研究して、いつもタロットのことを心に置いて…。自身でデッキとしっかり向き合いながら、どう感じるか?何に気付いたか?を大事にされています。

そうした長年の研究成果を「短い、率直な文章で、誰でもこの本によってリーディングが行え、また何度でも読み返せる本」としてまとめあげたもの。ウエイト版78枚の各カードについて解説あり。

ただ意味を丸暗記するのではなく、「固定化・普遍化された意味はない、いつも新鮮な気持ちでイメージしよう」とすすめています。カードの説明の中でも、読者に疑問を投げかけるところがあって、自分で考えてみるきっかけもあります。イメージを広げるレッスンになる本。

啓示タロット

1960年、この本の原著「The Tarot Revealed」が出版されるまで、ウエイト版の解説書といえば、神秘主義の教えを書き連ねたものしかなかった→難しい上に、占い方はおまけ程度にしか書いてない→「うーん、わからない…」という声に答えたのがこの本。タロットで、実際に占うための手順や、占い用のカードの意味など、わかりやすい言葉で書かれたのが画期的だったとか。

「未来を予言する」のではなく、「ポジティブに人生をクリエイトしていく」ためのタロットリーディングを提唱したのも、タロット・リーダーの母と呼ばれる所以でしょうか。

たくさんのタロット本が出ている今となっては、カードの解説があっけないようにも感じますが、もっと細かくは、タロット3部作のほか2冊「皆伝タロット」「自在タロット」で、ですかね。リンク下記

タロット—その歴史・意味・読解法(新装版)

歴史から、シンボリズム、カードの意味と、タロットの全体像をまとめてあります。

大アルカナを、1→22の段階を踏んでいく、人間成長のストーリーとして解説しています。そして、運命の輪を区切りにして、前半のカードと後半のカードに分け、それぞれに意味を持たせているのが特徴。ユング心理学の用語もからめています。

最後のほうでは、タロットを使う瞑想やゲームの紹介も。瞑想は、一枚一枚のカードに描かれた人物を、イメージで動かし、どんな季節、どんな風景の中、どんな動きをするかまで感じ取れ!と。カードの世界観を体感するという試み。

ユングとタロット—元型の旅

ユング派の分析家による考察。数少ないマルセイユ版を使った本なので、一度は読んでおこうと思ったのですが・・・手元に来てびっくり。あまりの分厚さに。重さに。651ページ!

内容はというと、ユング心理学でいう「個性化」をたどる道程を、大アルカナと重ねて解説しています。ここで「個性化って???」という人には、ちょっとキビシイかもしれません。「セルフ」「元型」「アニマ」など、ユング用語のオンパレードですので(ミニ解説はありますが)、ユング心理学を知ってる方のほうが理解しやすいでしょうね。

著者がマルセイユ版を使った理由は、「作者が不明で、決まった解説書がないから」。ということで、一枚一枚のカードについて、とめどなく連想を広げていってます。元型をはじめ、夢分析や、タイプ論といったユング心理学の要素だけでなく、神話や文学、色や数との関連、カードとカードのつながりについても。広がり過ぎてポイントが分かりにくくなるところもありますが、他にはない考え方も出てきて、読みごたえはあります。

タロット-こころの図像学

タロットに興味を持つ人って、「占いがしたい」人か、「絵自体に興味をひかれる」人か、に分かれると思うのですが。この本はどっちかと言えば「絵」に興味がある人におすすめします。「これって何を描いてるの?」や、そのカードが描かれた背景を知りたくなったら、どうぞ。

第一部は、大アルカナ22枚のカードの図像を解説。良いなぁと思うのは、最も古い時代のタロットと言われるヴィスコンティ版、マルセイユ版、ウエイト版の3種を同時に読み解くところです。

タロットの歴史や図像の解説本はかなりのボリュームなのが多く、尻込みする方もおありかと想像します。その点、この本はコンパクトで、最初に手に取るには良いんじゃないかと。マニアックになりすぎない語り口だから読みやすいです。ユングが多用されているのは、好みが分かれるかもしれませんが・・・
(今、中古で探すしかないのが残念です)

思考ツールとしてのタロット

タロットを、神秘的な特殊なものとして扱うんじゃなく、もっと普段使いしていこう、視点を変えるツールとして使おうとしています。

イメージしやすいイラストと、さらっとした語り口で、すらすら読み進められます。大アルカナ22枚の説明は、タロット初めての人でもかなり分かりやすいと思われます。シンプルな内容だけに、気楽に何度も読み返すこともできるのが便利。

「第三部 相談は何故失敗するのか?」では、タロットリーディングに限らず、日ごろ身近な人から受ける相談でも何でもに当てはまることが書かれています。日ごろ思っていたことが文章化されたようで、共感しながら読みました。

今まで、タロットを見たこともない触ったこともない人こそ、これをきっかけにタロットと親しめるんじゃないかなーという可能性を感じます。

タロットの宇宙

第一章「タロットの枠組みと数秘学」は、新たな視点を与えてくれました。大アルカナ全体の流れ、各スートの象徴や、コートカードの人物像など、これはこれで新鮮。

1~10の数のとらえ方も、「天と地」「能動と受動」の枠組みで考えるのが、私にはしっくりきて、数秘術で習ったことが整理されるようでした。

この本で使われているタロットは独特で、色数が多く派手というか、配色のインパクト大!色に思い入れがある者としては、色についての考察も興味を引かれたんですよね。見慣れたマルセイユタロットとは、細かなパーツも違うので、「カードの絵をよく見る」原点に帰れたかも。

個人的に好きなのは、具体的な解説よりも、各章についてる「序」文です。「序」の語り口は、ホドロフスキー映画のナレーションそのまんまで、文章が監督の声として聞こえてくる、ビジュアルも浮かぶ、映画を見てるような読書体験。映画を見てない人には通じない話ですけど。

法の書

聖守護天使エイワスからのメッセージを自動書記で記したものだそうですが、なんと、本が袋とじされていて、「封印を破って研究するのはご自由に。でも何が起きても知りませんよ」とか書いてあるんですよ。

トート・タロットの講座で「『法の書』はすらすら読める、でも意味はわからない」と聞いていましたが、ほんとです。ウェイトのThe Key to the Tarotに比べたら、文章ははるかに読みやすいですが、全然わからない。

本編はおいといても「アレイスター・クロウリーの生涯」がおもしろいです。予想を裏切らない奇人ぶり。

数の原理で読むタロットカード

タイトルから、各カードのナンバーから読み解くのかと思っていたのですが、数字だけじゃありませんでした。生命の木との対応や、禅の十牛図との関 連、グルジェフの思想、占星術の世界観も出てきます。こういうことの基礎知識がないと読みにくいかもしれません。

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