スピリチュアリズムによって描かれた絵画っていうことで気になってた展覧会、いってきました。

この前日に見たビアズリーは貧しい家庭に生まれ、16歳から事務員として働きながら夜中に独学で絵を描いていた。対照的に、アフ・クリントは裕福な家に生まれ、王立美術アカデミーで学び、優秀な成績で卒業。

恵まれた環境と才能があった彼女が心霊主義に導かれ、自動描画にいったというのが興味深い。
1879年、17歳で死者との交信に興味を抱いて交霊会に参加。1891年、29歳で初めて自分自身が霊的存在からのメッセージを受け取る。1906年には霊的な導き手からのメッセージを絵画を通して伝えるのが自分の重要な仕事だと取り掛かる。

目に見えない世界を目に見える絵にする、体験者にしか理解できないかもしれない霊的世界を表現する、大仕事に生涯をかけた。


霊界やスピリチュアルは何もわからない私でも、3mほどの大サイズの絵が並んでる空間では、絵自体が持つ迫力に心うたれました。

スピリチャル云々をおいといても絵自体に魅力があるのが、ダサスピと違うとこかな。
失礼ながら私の好みでは今のスピリチュアルアートってうーん…持ってると癒されるとか運気が上がるとかで売ったり買ったりするのもスピリチュアリティから遠く思うし。ヒルマは信念から描いて、霊的啓示からお金儲けをしなかった。
美術として見ても抽象画の先駆けで、もっと前から注目されてよかったはずなのに、最近まで美術史で取り上げられてこなかったんですね。オカルトだから無視されてたのか、女性だからか。
彼女が影響を受けたという神智学は、同時代の抽象画の有名人カンディンスキーも影響を受けてるそうだけど、男性は意志を持ち知的、女性は受動的というジェンダー観では、霊に操られて描いたなら本人の作品じゃないと見なされたのかな?

映画「見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界」もみたくなりました。

ヒルマ・アフ・クリント展、2025/6/15まで




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