源氏物語

何を思ったのか自分でもわからんが、源氏物語を読んでいる。

源氏物語 A・ウェイリー版1

「世のはじめから恋とは愚かなもの」

恋愛の、body、mind、spirit、すべてをバグらせる威力には慄くばかり。

正気を失い、寝食を忘れ、生き霊にさえなってしまうほどの陶酔、酩酊。それによってモチベが上がり生きる力が湧いてくる、もあり、恋煩いで見る影もなく衰弱していく、もあり。生命力の振れ幅が大きすぎやしませんか。

会いたくて会いたくて震えるとき、

ライオンに乗っかっていくのか、そっと花輪をかけるのか

欲望は禁じられるほど高まる、タブーがあるほど燃え上がる。でも相手が応えてくれないならば、好きになってはくれないんだと受け入れる強さがいる。トートの「lust」もWSの「strength」も垣間見える物語。

まぁ閉口する部分はありますよ。「ゴージャスなフレンチも好きだし、ありふれたうどんもたまにはうまいよね」みたいに手を伸ばす男、なんなの?女たちのほうも、美形でモテてステイタスが高い男に言い寄られたからぽーっとしちゃってるだけ。どっちも属性しか見てないのでは?相手そのものじゃなくて。

だから「源氏が愛する多数の女の一人になりたくない」って人が発生するのもわかる。それも含めて、今も変わらない人間の習性だから読み継がれるのかな。

(まだ1巻の三分の一しか読んでないから、長い物語の中で違う愛が出てくるのかもしれないです)


源氏物語はいくつも現代語訳が出てるけど、好きな作家さんがこれを勧めてたので、気になってたんです。源氏物語 A・ウェイリー版1

100年前に英訳されたのを、もう一度日本語に訳し戻したもので、英訳の時点でヨーロッパの人にわかりやすいように選ばれた言葉をそのままカタカナで使ってるのがおもしろい。

琵琶はリュートに、御簾はカーテンに、紫の衣はダークパープルのロングドレス、馬車でパレスに向かうプリンス、寝るのはベッド、平安朝よりも西洋の貴族が浮かんできます。

表紙のクリムトの絵も気に入ってる。

グスタフ・クリムト「接吻」1907 – 1908年

一つに溶け合うかのようにくっつく男女がいるのは崖っぷち。光り輝きながら(金色)も死と隣り合わせ、みたいな。

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