
ルネサンスから20世紀の中頃まで400年の西洋絵画83点の展示。ながめていくと、装いや風習の変化も見られて、歴史の勉強みたい。
写真がない時代、王侯貴族の肖像画は、選挙ポスターやお見合い写真のようなものか。「こう見せたい」理想の姿と現実のギャップをどう埋めるかも画家の腕の見せ所だったよう。盛って加工する今のSNSみたい。

このかっこいいナポレオンも理想化されたもの。白馬に乗ってね。実際はラバで越えたけど事実を描く必要はない、偉大さをPRする絵なのだから。
一緒に描きこむ物でその人の特性を表すのも絵画の手法。よくあるのは、書物を描いて知性を示すもの。今回、初めて知ったのは「時計」です。肖像画では慎ましさを表すことが多いが、洗練された趣味や財力を示す場合もあるとか(高級腕時計をつけた写真をアップするようなもの?)
18世紀には農村も理想化された。お金持ちがわざわざ農民風の格好をして田舎で戯れるのが流行ったとか。最先端のラグジュアリーなファッションを脱ぎ捨てて、たまに素朴な格好するのもおもろいな、を本物の農民はどう感じていたのか。現代でも「週末田舎暮らし」が好きな人もいますし、人間のやることは何百年経ってもそう変わらないのかな。
理想化するなら創作のが好きかな、私は。リアルな人間よりも、神話を主題にしたものとか。

上の絵は、ギリシャ・ローマ神話のアモルとプシュケの物語から。愛の神アモル(クピド)は自分に金の矢を刺しちゃって人間の女性プシュケに恋をした。でも神の姿は見せられない。「絶対に俺の姿を見ちゃダメ」て言い含められてたのに見てしまったプシュケが、アモルに捨てられて絶望してるシーン。
物語のほんの一場面だけど、このあと彼女は…アモルは…と神話の顛末を思いながら見ると味わい深い。一枚の絵から想像を広げられる。
いちばん想像力を掻き立ててくれたのは、マグリットのこの2枚でした。

同じく「幻想の世界へ」コーナーにあったシャガールとキリコも好きだった(どちらも撮影不可作品)
時代も画風もまったく違う絵をいっぺんに見てたら、自分の好みがはっきりしたかも。目に見えるものを美しく描いた絵より、実際にないもの、象徴を描いた絵が私は好きみたい。
しかしこの豪華なコレクションが一宗教法人のものとはなぁ。信徒さんからの献金でこれだけ買い揃えたのかと思うと少々複雑な気分。おかげで日本で見ることができる恩恵にあずかってるんだけども。
この特別展、名古屋市美術館では2025年6月8日まで

同チケットで見られる常設展もよかったです。草間彌生のピンクボートやユトリロなど。



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