(誰も興味ないと思いますが)約300点ものが一気に見られる、国内過去最大規模の夢の大展覧会!ルドン・ワールドに浸れました。
ルドンは、日本でも有名なモネと同い年で同じくフランスの画家だけど、印象派のように目に見えるものじゃなくて、夢や幻想を描いてた人。
体がない顔とか、花の代わりに人の顔が咲いてる植物とか、人間の顔がついた鳥や魚とか、笑う蜘蛛とか、目玉とか
ただヘンテコなもの、奇想を描いてるだけなら「かわいい」で終わりだけど、彼のインスピレーションの源泉は音楽や文学だから、心が揺らされるんですよ。視覚の詩。
上の目玉もエドガー・ポーの作品に向けた絵だし、ボードレールの詩「悪の華」につけた挿絵なんか最高でした。デカダン?世紀末の退廃的な詩とルドンの黒い絵が合わさったら、ある種の人にはたまらないでしょ。
夜ごと闇の奥底で、神は一刻の休みなく、さかしげな指先に形さまざまな悪夢を描く
栄光と誉め讃えとは君にあれ、悪魔よ、かつて君が治めた天の高きにあった日も、敗れ去って、孤独のうちに夢みつづける地獄の深きにある時も!
展覧会は撮影不可でしたけど岐阜県美術館のサイトで見られます。
後年は色とりどりのパステルで神話や花を描きました。
色が綺麗でこれはこれで好み。でもどっちかといえば私は黒の時代に強く惹かれるなぁ。自分自身が暗いとこをもってるからだろうけど、なんかが刺激されるのでした。
「死神:私のおかげでお前も本気になることができるのだ。さあ抱き合おう」こんなタイトルで、死神が暗闇からぼぉっと現れてくる絵とか見てたら、生命の木の「死」のパスを思ってしまう。
「私はいつまでも偉大なイシス!まだ誰も私のヴェールをかかげたものはいない!私の果実が太陽なのだ!」の絵からは「女司祭」を思ったり。
岐阜県美術館はもともとルドンのコレクションに力を入れてて、以前も展覧会があり、前のももちろん見たんですけども、今回は量が圧倒的で、見終わった時には心身ともに脱力しちゃった。
ルドン大好きなのになぜか開催情報を見逃してたんですよね。最終日に滑りこみで行けてよかった。
年明けには広島に巡回するみたいです。2025年1月11日(土) ~ 3月23日(日)ひろしま美術館にて
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