2025年4月発売のこの本、ようやく読了

『レディ・ステディ・ゴー! 60sスウィンギン・ロンドン』
ショーン・レヴィ (著), 伊泉 龍一 (翻訳)
60年代、アメリカでカウンターカルチャーが花開く前の、若者文化が生まれたロンドン。ほんの数年のきらめきを作った人たちのエピソードがとりあげられてます。
アメリカが舞台の翻訳書は固有名詞をさほど気に留めずに読み飛ばしてたのだけど、イギリスだと生半可に聞き覚えがあったりして、地図や年表を見たり、人間関係を調べ始めてしまい、1時間に3ページも進まない。ずいぶん時間がかかりました。
どんな本かはYouTubeでも紹介されてるので見ていただくとして
アメリカとの違いは、イギリスは階級社会ってことですかね。どんな英語を喋るかで出自がわかる。生まれによって人生の選択肢も限られる。貧富の差も歴然。前時代的な閉塞感ある国で、階級の線引きを超える人たちが現れたのは相当なインパクトだったでしょう。
「時代の最先端であるのがクール」という新たな基準によって、斬新なものを打ち出す才能があれば、階級に関係なく表舞台に上がることができた。ストリートから流行を生み出すとか、貧困層からスター誕生って日本では想像できないほど強烈なサクセスストーリーなのかもしれない。
ファッション、アート、音楽、クラブなど同時に革新が起きて、話題が多岐にわたる本で、読む人それぞれに特に関心がひかれる部分が違うと思う。私だったらローリング・ストーンズ。

”向こうみずで、反抗的で、慣習に無関心”を体現してる。
にしてもミック・ジャガーは女の人の扱いがひどすぎ。他の登場人物の、若者らしい純情や傷心と比べたら、尋常じゃないメンタルというかなんというか。そういう強さがあってこそ、今でも現役でステージに立ててるのかもしれないけれど。
今年1月に亡くなったマリアンヌ・フェイスフルへ、ミック・ジャガーの追悼文を皮肉な目で眺めてしまう。
マリアンヌ・フェイスフルの訃報がでたとき、一番に「ミック・ジャガーの元カノ」と書かれてたのも寂しかった。彼女の人生は「ロックスターとつきあってた」だけじゃないのにね。
まだまだ男性中心の世です。まして60年代を書くこの本では、全体的に女性は添え物、トロフィー、あるいはプロデュースされる存在。最も自立してそうなマリー・クワントでさえ、夫の営業力があっての成功だし。
その点、もう一人の「ストーンズの女」アニタ・パレンバーグはかっこいい。「誰の影にもならず、自分の人生を貫いた」。10月公開の彼女のドキュメンタリー映画、楽しみ。
ファミニストみたいな感想になってきたな。
ついでに個人的な思いを書くと、この本の、熱に浮かされたようなお祭り騒ぎとその終焉は、若かりし自分のことが重なって感傷的にもなりました。
本に出てくる曲、たとえばキンクスの「ウォータールー・サンセット」などタイトルを見ただけで懐かしく
ロンドンに着いてすぐ、好きだったこの曲の風景を見たくて、ウォータールーに夕日を見に行ったこと、フラットをシェアしてた子に「なんで初めにそこなの?もっと他に行くとこあるでしょ」と笑われたことなど、思い出されてしまう。
あの街で夜な夜な遊んでた、謎のエネルギーで「生きてる」実感があった青春の光と影。もはや断片的な記憶しかないけれども、この本に出てくる若者たちを想像するには少々役立ったかも。
本の後半、ロンドンの輝きは消え、若者文化の中心はアメリカへ。西海岸にヒッピーが集った理由の一つに「気候」があげられてたのにはなるほど!と思った。カルフォルニアの青い空だから裸足で半裸で寝転がってられる。寒くて暗いロンドンなら凍死するわな。
暑くないからモッズスーツやその他おしゃれができたわけで、どっちがいいというものじゃないけど、私の好みはヒッピールックよりイギリスのほう。名古屋のモッズメイデイをやってる人のお店で服買ってる。
ファッションについては、訳者あとがきで紹介されているこの本も気になる。

竹内絢香 (著), 高村是州 (監修)
音楽もUKのが好きで、どうもイギリスに肩入れしちゃうけども、この本を読んでたらアメリカとイギリスのさまざまな違いにも興味が出てきた。もう一回アメリカのほうも読むかな。

『60sカウンターカルチャー セックス・ドラッグ・ロックンロール』
ロバート・C・コトレル (著), 伊泉 龍一 (翻訳)
ロックの本も。

『アンコモン・ピープル ―「ロック・スター」の誕生から終焉まで』
デヴィッド・ヘップワース (著), 伊泉 龍一 (翻訳)
2025/8/19追記
この本でけっこうなボリュームを占める俳優テレンス・スタンプが2025年8月17日に亡くなりました。87歳。読んだばかりで、ブログ書いたばかりでなんだか。。。
60年代スウィンギン・ロンドンから60年、そりゃスターたちもお年を召していきますわな。
追悼しているキース・リチャーズもすっかりおじいちゃんだ。



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